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Prosper Together - サステナビリティへのコミットメントに向けた2022年度の進捗について

2023年05月15日

株式会社リクルートホールディングス(以下「当社」)は、持続可能な社会への貢献と当社の持続的な成長の両立を目指して、2021年5月に「サステナビリティへのコミットメント外部サイトへ」を発表し、2030年度(注1)に向けてESG(環境・社会・ガバナンス)の目標を定め、取組みを進めています。

世界各国では、新型コロナウイルス感染が落ち着きを見せるものの、地政学的な緊張感が続く中で景気後退の可能性も受け、社会的、経済的な格差拡大への懸念が高まっています。当社は、不確実性が高い世界で持続的な成長を実現するには、企業活動全体を通じて社会や地球環境にポジティブなインパクトを与え、すべてのステークホルダーとの共存共栄を目指していく必要があると考えています。

環境:気候変動への対策

当社グループでは、すべての企業活動は、あらゆる生命の生存基盤である地球環境が健全であってはじめて成り立つと考え、気候変動への対策として温室効果ガス(GHG:Greenhouse Gas)排出量の削減に取組んでいます。

短期目標として定めた、当社グループの事業活動におけるカーボンニュートラルは、2021年度に続き2022年度も達成する見込みです。(注2,3)そして、2031年度3月期までに目指すバリューチェーン全体を含めたカーボンニュートラル(注2,3)に向けては、3カ年の実質削減目標(注4)を定めると共に、SBTi(Science Based Targets initiative)の1.5°C目標(注5)に署名し、削減を進めています。その活動が評価され、2021年に続き2022年もCDP(注6)によるサプライヤー・エンゲージメント評価において最高評価であるサプライヤー・エンゲージメント・リーダーに選定されました。

また、プロダクトを通じた環境への貢献も始めています。Indeed上で採用面接を完結するIndeedインタビューによって面接のための交通移動を減らすことで、GHGの排出回避に貢献(注7)しています。

社会:就業までに掛かる時間を半分にする

当社グループが事業として携わる「仕事」は、人々にとって欠かせない生活基盤です。OECDの調査によると、3カ月間収入が無い状態が続くと約40%の人々が貧困に陥ってしまう(注8)中で、早く仕事を得られることは何よりも重要です。世界で人材マッチングビジネスを展開する当社グループとして、就業までに掛かる時間を短縮し、あらゆる求職者の就業機会を拡大することで、事業を通じてソーシャルインパクトを創出していきたいと考えています。

就業までに掛かる時間を短縮するには、データやテクノロジーを活用して、求職者と仕事のマッチングスピードと精度を向上することが重要です。

2031年度3月期までに就業までに掛かる時間を半分にする目標に向けて、まずはIndeed上のユーザーデータの収集と分析に注力する中で、仕事の種類や年収帯等によって求職期間に大きな違いがあることが分かってきました。

また、就業までに掛かる時間の短縮に向けて、Indeed上のプロダクト開発を進めました。例えば、企業クライアントが求人広告へのクリック数に対して課金される「Pay Per Click」モデルではなく、応募に対して課金される「Pay Per Application」モデルを利用した場合、就業までに掛かる時間が約17%(注9)短縮されました。また、企業がIndeed上でスキルによるマッチングができる「Indeedアセスメント」を利用すると、採用に掛かる期間が約16%(注10)短くなるといった結果が出てきています。

今後も就業までに掛かる時間に関する知見を深め、プロダクトを進化させることで、更なる時間短縮に貢献していきます。

社会:障壁に直面する3,000万人の就業を支援する

世界の労働市場には、求職者と仕事のマッチングスピードと精度を向上するだけでは解決できない、構造的な偏見(バイアス)やさまざまな障壁が多く存在しています。当社グループでは、労働市場に存在する障壁を低減することで、あらゆる求職者の就業機会を拡大し、その失業期間の短縮に貢献します。

2031年度3月期までに累計3,000万人の障壁に直面する求職者の就業を支援する目標に向けては、世界で共通した障壁となっている学歴や障がい、犯罪歴や軍隊経験、求職活動のために必要なテクノロジーや交通手段へのアクセスを持っていないといった障壁(注11)に注力して取組みました。労働市場には様々な障壁が存在していますが、例えば学歴については、候補者に十分なスキルがあっても学歴がないことで採用されにくいという調査結果(注12)が出ています。また、犯罪歴(注13)や軍隊経験(注14)があると失業期間が長いという調査もあり、特に米国ではこの傾向が顕著であると言われています。

障壁の低減に向けた取組みは始まったばかりですが、プロダクトの進化とパートナーシップを通じて(注15)約390万人の就業を支援することができました(注16)

社会:管理職の女性比率を50%にする

当社グループでは、創業以来、従業員一人ひとりの違いを大切にし、その好奇心から生まれるアイデアや情熱に投資することで新たな事業やサービスを生み出してきました。そこで、改めて、多様な従業員の価値創造への意欲を最大化することを経営の重要テーマと位置付け、ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン(DEI)の推進に取組んでいます。管理職の任用においても性別、国籍、年齢、採用経路等に関わらず多様性を高めることを重視しており、特にジェンダーの多様性については、グループ全体で目標を定めて推進しています。

2031年度3月期までに当社グループ全体における上級管理職・管理職・従業員それぞれの女性比率を約50%とする目標(注17)に向けては、3カ年目標(注4)を定めて取組みを加速しています。

特に、ジェンダーギャップが大きい日本を中心に事業を展開するマッチング&ソリューションSBU(注18)では、これまで無意識に管理職に求めていたスキルや働き方を問い直し、管理職要件を明文化しました。その結果、女性候補者はもちろん、男性候補者も増え、候補者全体が拡大するといった兆しが出てきています。

ガバナンス:取締役会の女性比率を50%にする

当社は、経営の透明性と健全性を向上し、経営の意思決定の質を上げるためには、監査役を含む取締役会構成員の多様性を高めることが重要であると考えています。スキルや経験、バックグラウンドの多様性を高めることに加えて、特にジェンダーについては目標を定めて取組んでいます。

2031年度3月期までに当社の取締役及び監査役全体の女性比率を約50%にする目標に向けては、2023年6月に開催予定の定時株主総会に、新たな女性取締役候補であるKatrina Lake氏を含む選任議案を上程する予定です。本議案が可決されれば、女性比率は約27%から約33%に上昇する見込みです(注19)。また、本選任によって、ジェンダーに加えて、国籍や年齢、スキルや経験等の属性についても取締役会の多様性が高まります。

また、当社の業務執行取締役と主にテーマを推進する執行役員に対して、3カ年目標を定めたGHG排出量削減と女性比率向上の達成如何を、2022年度からの長期インセンティブ報酬(注20)の一部に連動させることを取締役会において決定し、取組みを加速しています。

上記コミットメントにあわせて、当社では、データセキュリティ・プライバシーへの対応強化、人権の尊重と企業倫理の徹底、人的資本の強化を企業活動の重要な基盤として取組んでいます。取締役 兼 常務執行役員 兼 COOの瀬名波 文野をESGの推進責任者として、ステークホルダーの皆様との対話やサステナビリティ委員会等での議論を通じて取組みを進めていくとともに、取締役会において目標の進捗を確認し議論しています。

本内容に関する詳細は当社ウェブサイトをご覧ください。https://recruit-holdings.com/ja/sustainability/外部サイトへ

(注1) 本文書に記載の「年度」は、その年の4月1日に開始し、翌年の3月31日に終了する会計年度

(注2) 事業活動における温室効果ガス(GHG:Greenhouse Gas)排出量は、スコープ1(自社が管理・所有するオフィスにて直接排出されるGHG)、スコープ2(自社が管理・所有するオフィスにて購入した電力・熱・蒸気エネルギー等の使用を通して間接的に排出されるGHG)の合計。バリューチェーン全体におけるGHG排出量は、スコープ1、2に加えて、スコープ3(スコープ1、2を除く間接的に排出されるGHG)を含むすべて。GHG排出量の測定、排出量に対する第三者認証の取得、更に残存する排出量に対してオフセットを行った上で、カーボンニュートラルの達成を目指す。

(注3) GHG排出量の数値は、すべてGHGプロトコルに基づき算定した概数。また、2021年度のGHG排出量、及び回避したGHG排出量はSOCOTEC Certification Japanによる「独立した第三者保証」を取得している。

(注4) GHG排出削減目標については2022年度から2024年度の実績、従業員における女性比率目標については2022年4月1日時点から2025年4月1日時点までの実績、取締役会構成員における女性比率については2022年7月1日時点から2025年7月1日時点までの実績を対象とする。

(注5) The Science Based Targets initiative(SBTi)が定める短期目標であり、地球温暖化を産業革命前の温度レベルと比較して1.5℃以内に維持するために必要な削減のレベルと一致するGHG排出削減目標

(注6) CDPは2000年に設立された英国の慈善団体が管理する非政府組織(NGO)。世界最大級の環境データベースを保有し世界の主要金融機関と協力し、企業が環境に与える影響を明らかにしている。

(注7) Indeed Interviewを通じたGHGの排出回避量は約13,000t-CO2以上であり、当社グループのバリューチェーンを超えた貢献であるため、当社グループのスコープ1、スコープ2、スコープ3の計算には内包しない。

(注8) 出典:OECD「How's Life? 2020」に基づく、OECD加盟28カ国の数値

(注9) 2022年1月から2023年1月までに米国Indeed上の採用について、求職者が Indeedを通じて採用された仕事に対して、応募してから採用されるまでの期間から算出した差分。分析データは、Indeedの2つの料金モデル(応募に対する課金、またはクリックに対する課金)のいずれかを利用した有料求人のみを含む。Pay Per Applicationは、雇用主が基準を満たす求職者からの応募にのみに支払う新しい課金モデル。Pay Per Clickは、Indeedの基本課金モデルで、求職者が求人広告をクリックした際に雇用主に課金される。

(注10) Indeed上における求人掲載が(a)14日未満で、(b)2022年11月1日から2022年12月31日までの間に応募があった求人に対し、雇用主がIndeedで採用するまでの日数に、Indeed上でスキルテスト(Indeedアセスメント)を利用する場合とそうでない場合で、統計的に有意な差があった。採用までの時間は、求人がIndeedに掲載された日から、雇用主がIndeedで候補者を採用したという理由で求人が終了した日までの差として定義

(注11) インターネットに接続することが出来ず求人プラットフォームにアクセスすることができない、面接や仕事に行くための交通手段がないといった、求職活動の機会を著しく限定する障壁を示す。

(注12) 出典:Accenture, Grads of Life, Harvard Business School「Dismissed by Degrees: How degree inflation is undermining U.S. competitiveness and hurting America’s middle class.」(2017)

(注13) 米国では約7,000万人に犯罪歴があり(出典:The Sentencing Project)、犯罪歴がある求職者の失業率は米国平均の約5倍(出典:Prison Policy Initiative)。

(注14) 米国商工会議所財団の2016年の調査で、退役軍人の53%が退役後4ヶ月以上にわたって、失業していることがわかっている。実際、当社のサービスにおいても、軍隊生活から市民生活に移行中の退役軍人は、軍で得たスキルや経験を労働市場でうまくアピールできずに仕事探しに苦戦するケースが多く存在している。

(注15) 当社のオンライン求人プラットフォームを通じた支援や、当社が協働するNPO等とのパートナーシップを通じた支援等を実施。当社は、2030年度に向けて今後新たに発生し得る労働市場の障壁についても、その低減を目指した取組みを更に追加する可能性がある。

(注16) 2021年5月1日から2023年3月31日までの間に、採用シグナルの測定を通して、世界中の求職者及び雇用主からIndeed上で報告された就業データに基づく。学歴、犯罪歴、軍隊経験、障がいの有無、又は求職活動のために必要なパソコンやインターネット等を持っていないという労働市場の障壁のうち、少なくとも1つに直面した求職者の就業数の累計

(注17) 上級管理職は、当社及びマッチング&ソリューション戦略ビジネスユニット(Strategic Business Unit、 以下SBU)においては執行役員/専門役員、HRテクノロジーSBUと人材派遣SBUにおいては主要子会社社長/重要機能トップを示す。管理職・従業員の女性比率は、当社、全SBU統括会社及び各SBU配下の主要子会社について集計。管理職は、部下を持つすべての管理職

(注18) 当社のビジネスセグメントであるStrategic Business Unitの略称

(注19) 取締役会構成員は、取締役及び監査役の合計を示す。

(注20) 長期インセンティブ BIP信託(株式)報酬の一部として設定し、3カ年目標の達成如何によって支給有無を決定する。