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CEOメッセージ

イノベーションの創出で、一人ひとりが輝く世界へ

代表取締役社長 兼 CEO 峰岸 真澄

グローバルの潮流に合わせた経営

5年前、私がCEOに就任した時、既に世の中はこれまでにない速度でグローバル化が進行、スマートフォンなどの新たなデバイスやSNSの普及により、コミュニケーションのあり方も変化していました。そのようななか、いかに機敏な舵を取るかが私のミッションでした。

まず着手したのは、リクルートグループの分社化です。それまで株式会社リクルートとして中核だった組織を改編し、持株会社リクルートホールディングス傘下として新たに1,000~2,000人規模の中核事業会社に分けて展開。それぞれ1980年代初頭のリクルートが最も急成長を遂げていた時期と同規模にすることで、各社での迅速な経営判断を可能にしました。

さらに2013年には経営理念を再定義し、「私たちは、新しい価値の創造を通じ、社会からの期待に応え、一人ひとりが輝く豊かな世界の実現を目指す。」としました。「まだ、ここにない、出会い。」...すなわち人々が求めているさまざまな「機会」を、創業した日本に限らず世界中に届けていくことを目的としています。

それを実現するステップとして、2020年に「雇用決定者数でグローバルNo.1」、2030年には販促領域を含めて「サービス利用者数でグローバルNo.1」になることを掲げました。

2014年の株式上場は、これらのビジョンに基づく長期的な利益成長のためのひとつの手段として選択したものです。上場による財務戦略の多様性・グローバルでの信頼性・経営の透明性の向上をもとに、M&Aをはじめとした成長に向けた各種投資を機動的かつ積極的に実行します。

現在は既存事業の強化と新規事業開発、M&Aを軸に、特に海外事業では求人検索サイト「Indeed」を中心とするHRテクノロジーを活用した事業の成長に注力しています。また、継続的な企業価値の向上を目指し、グローバル水準のガバナンス体制強化、グローバルコンプライアンス対応に取り組んでいます。

イノベーション創出は企業としての宿命

リクルートグループは創業以来、従業員一人ひとりが、社会や顧客の不満、不便、不安などといった「不」に真摯に向き合い、さまざまなステークホルダーの皆さまとともに、新しい価値を創造してきました。企業の使命は、イノベーションによって社会に新しい価値を提供することだと私は考えています。

1960年という日本の高度成長期に創業したリクルートは、人材を求める企業と、仕事を求める学生たちのニーズを結びつける情報ビジネスからスタートしました。

開かれた企業からの募集情報を情報誌として一元化し比較検討できるようにすることで、情報がオープンになり、自分の意志で、自分の生き方と照らし合わせて就職先を選ぶという新しい就職のモデルを実現しました。あるいは生涯一企業に勤めることが美徳とされていた時代に、転職というどちらかと言えば後ろ向きなものと捉えられていた活動を、自身のキャリアやライフプランを自由に描くため前向きなものにし、アルバイトや派遣という働き方の選択肢の提示や、女性の社会進出など、世の中の一人ひとりの思いに応える多様な働く機会を生み出してきました。

さらに人材領域だけではなく、住宅や旅行、結婚式、中古車選びなど、それまで情報が閉じていた領域に取り組み、情報の非対称性をオープン化し、消費者が安心して選べることと企業や産業界の効率を高めることに寄与してきました。

常に、いち早く個人や産業界の「不」を見つけ解決することで新しいマーケットを創造し、No.1ブランドになっていく。これまでリクルートグループが生み出してきたサービスは、それぞれの産業界にとってインフラとも言える役割を担うようになっています。
今日では、扱う情報はデジタル化され、サービスの提供形態は情報誌からWEB、スマートフォンアプリへと変化しています。デジタル化されることで情報は世界を駆け巡り、当然、日本の中でだけの発想では限界があります。AIをはじめ世界で加速するテクノロジーの進化や、IoTやデバイスの急速な移行、SNSやクラウドの普及など激変するコミュニケーション環境をいち早く取り込み、ユーザーの利便性に結実させなければなりません。私たちは限られた領域やエリアのNo.1に満足することなく、常に新しい価値を創造し続けるチャレンジをしなければならないのです。

これらのチャレンジにより、持続的に社会・産業に価値を提供し続けると同時に、常に高い倫理観・価値観に基づいた行動を両輪で実現し、社会の期待に応え続けていくことが企業として必要と考えています。

リクルートの競争優位の源泉は人であり文化

なぜリクルートは創業以来50年以上が経過してもなおベンチャー気質に溢れ、層の厚い人材輩出を続けられるのか。さらに環境変化のなかで、さらなる成長事業創造と事業変革をなぜ同時に実現することができるのか。

私はその中核には「人」があると考えています。社会環境の変化に即応したさまざまなイノベーションを生み出しているのは「人」にほかなりません。

背景には決して他社が容易に真似できない企業文化と、それを支える「人」を育てて活かす仕組みがあります。

例えば新規事業提案コンテストはすでに30年以上の歴史を持ち、過去においては「ゼクシィ」、「HOTPEPPER」、「受験サプリ(現スタディサプリ)」など多くの新規事業を生み出してきました。

現在は毎月1回事業提案の場が設けられ、2017年3月期は約700件のビジネスアイデアが起案されました。
M&Aにおいては、対象を見つけ、経営に提案した人自身がM&A後の事業責任者として赴任することが大切であり、さらにM&A先へリクルート流を押しつけて多くのリクルート社員が乗り込んでいくのではなく、権限を明確化し先方のコミットを引き出すことが重要な勝ち筋であることがわかっています。
また、人材開発委員会や目標設定や評価、フィードバックの仕組み、ナレッジシェアのイベントなどリクルートの人的資本や知的資本を流通させる仕組みはたくさんあります。

なかでも本当のリクルートの強さは、そういった仕組みがビジネスモデルや競争優位と結びついているだけではなく、「起業家精神」を育み、「圧倒的な当事者意識」を発揮させ、さらに「個の可能性に期待し合う場」として相互に影響を与え、再拡大を可能にすることです。競争優位が企業文化と深く結びつき循環していることは、他社には決して真似ができないことにほかなりません。

また、どのような社会環境の変化の中にあっても、従業員には倫理綱領を基準とし誠実に行動する事と、様々なステークホルダーに対し信頼できるパートナーとなる事を求めています。

複数のメディア事業を歴任した私自身の原点

「圧倒的な当事者意識」や「起業家精神」は私自身の原点でもあります。リクルートでのキャリアを中古車情報誌「カーセンサー」でスタートし、広告営業としてひたすら販売店を訪ねて回るある日、懇意になった販売店で電話番をさせてもらいました。問い合わせから人気車種の傾向をつかみ、地域ごとの売れ筋車種や価格帯を分析し、仕入れる車種と販売価格を経営者に提案したところ、販売店の売上が上昇しました。手の届きやすい低金利ローンの新車販売を提案すると、その広告に問い合わせが殺到しました。この経験から、顧客の真の「不」を解決することが何より大切であるという原体験を得ました。

次の結婚情報誌「ゼクシィ」の立ち上げでは、衰退の一途だったブライダル産業が、情報をオープンにするという志と、徹底的にカスタマーに向き合ったプロダクトにより、産業自体が勢いを盛り返すという得がたい経験をしました。企業は産業界をも活性化できる。私は企業人としての社会へのコミットに魅力を感じるようになりました。

その後は「住宅情報」の事業トップへ。30年の歴史の中で成長が鈍化した事業を、「SUUMO」ブランドのもとでインターネットを主戦場とするサービスに位置付け、新たな成長基盤を築きました。この中核を担ってくれたのは、自分の意志を持ち、顧客と業界に向き合い、何かを実現したいという思いのある従業員たちでした。彼らに次から次へと高い目標と困難な仕事を与え、それを通じて人材が育つのが、まさにリクルートのリクルートたる所以です。

世界の社会課題解決の一助となること

私たちは、グローバル化とIT化がもたらす急激な社会や環境の変化という世界的な潮流のなか、これからさらに複雑で難解なチャレンジに踏み込みます。

現在、世界各国は多くの社会課題に直面しています。そして今、私たちに求められているのは、その解決の一助になることだと考えています。例えば雇用領域では、世界最大級の求人検索サイト「Indeed」や、世界有数の規模に拡大した派遣事業を通じて、各国・各職種における労働の「不」の解決を行い、さまざまな格差の課題に真正面から取り組んでいます。今後は、より一層ESG観点の重要性も認識し、国連で採択された持続可能な開発目標(SDGs)への貢献や、多様なステークホルダー・セクターとの協働も志向しつつ、未来に向けた取り組みを続けていきます。

ほかにも、世界の課題解決に向けてリクルートグループができることは何か。それはグローバルに複雑化した世界の全体像を捉え、一人ひとりが輝く持続可能な世界を目指して、さらなる新しい価値の創造に取り組んでいくことです。
リクルートグループは、高まる社会からの期待に応え、絶えず変化する時代や世界に向けて、ステークホルダーの皆さまとともにチャレンジを続けていきます。

代表取締役社長 兼 CEO 峰岸 真澄