CFOメッセージ
戦略的買収とテクノロジーで企業価値を拡大

佐川 恵一
取締役 兼 専務執行役員 兼 CFO
2017年3月期から2019年3月期 3年間の総括
2019年3月期は、2016年3月期決算にて設定した中期経営方針の最終年度でした。2017年3月期から2019年3月期までの3年間で、連結売上収益、連結EBITDA、調整後EPSはそれぞれが順調に伸長しました。連結EBITDAは、2016年3月期の2,022億円から45%増加し、2,932億円となりました。また、中期経営方針として掲げた「調整後EPSの3年CAGR一桁後半」の目標に対する結果は15.5%となり、目標を大幅に上回りました。
中期経営方針において重点テーマとして掲げた「海外事業のさらなる成長」と「国内事業の持続的な成長」についても、多くの進展がありました。「海外事業のさらなる成長」については、HRテクノロジー事業のGlassdoor、人材派遣事業のUSG People(現 Recruit Global Staffing)など海外での戦略的な買収や、Indeedの高成長の寄与などにより、連結売上収益に占める海外比率は、2016年3月期の36%に対して、2019年3月期は46%にまで成長しました。
「国内事業の持続的な成長」については、主に日本で事業を展開しているメディア&ソリューション事業において、個人ユーザーおよび企業クライアント基盤の拡大・強化や、SaaS (Software as a Service)の提供を通じた中小企業の業務・経営支援サービス、オンライン学習サービス「スタディサプリ」など、新たな成長分野の創出に注力しました。

2020年3月期 通期業績見通し*3
2020年3月期の当社通期連結業績見通しについては、HRテクノロジー、メディア&ソリューションおよび人材派遣すべての事業において増収・増益となる見込みです。当社が経営指標とする調整後EBITDA*4は、2019年3月期実績を上回る3,100億円から3,300億円を見込んでおり、調整後EPSは一桁後半成長を目指します。
なお、変化のスピードが非常に激しいインターネット事業環境でビジネスを運営しているHRテクノロジー事業の売上収益およびEBITDAが大きく成長し、連結業績に占める割合も相応の規模になるなか、前年度のような損益計算書各項目の数値見通しは提示していません。
財務方針と株主還元
2019年3月期のROEは19.3%となり、目安としている15%を上回りました。今後も引き続きROE15%を目安として経営を進めていきます。また当社は、配当を重要な株主還元の手段のひとつと考えており、引き続き30%の連結配当性向*5を目安として、年2回の配当を実施します。2019年3月期の1株当たり配当額は、中間配当13.5円、期末配当については期初の配当予想の1円増配となる14.5円、年間28円となりました。2020年3月期の1株当たり配当額は、中間配当、期末配当ともそれぞれ15円、前年度から2円増配の年間30円を予定しています。
また、目指す姿の実現に向けた戦略的買収に資本を投下します。戦略的買収に対して常に機動的に動くことができるよう、十分な資金を留保しておきたいと考えています。財務健全性を維持する範囲で、必要に応じて買収資金に借入金を充当することも考えます。上記の資金ニーズを満たした上で、市場環境および財務状況の見通しを踏まえ、株主還元施策として自己株式の取得を必要に応じて検討・実行します。
*1 当社は2018年3月期よりIFRSを適用しており、比較情報のある2017年3月期以降の数値を掲載しています。2016年3月期の日本基準の数値は、参考情報として記載しています。また、2019年3月期よりIFRS第15号を適用しましたが、2018年3月期以前の遡及修正は行っていません
*2 当社は2017年3月期より報告セグメントを変更しており、変更後の報告セグメントに基づく2016年3月期以前の数値はありません
*3 2020年3月期第1四半期決算時点の見通しです
*4 当社グループは、IFRS第16号を適用した2020年3月期第1四半期より、これまでの経営指標との比較可能性を考慮して、経営指標をEBITDAから、IFRS第16号の主な影響を除いた調整後EBITDAへと変更しています。調整後EBITDA:営業利益+減価償却費及び償却費(使用権資産の減価償却費を除く)±その他の営業収益・費用
*5 配当算定基準とする当期利益(親会社の所有者に帰属する当期利益 ± 非経常的な損益等)に対する配当性向