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職場復帰の不安に寄り添う 「ピンクマンデー」の取り組み

リクルートグループの人材派遣会社であるUniqueベルギーでは、乳がん月間である10月の第1月曜日に「ピンクマンデー」を開催しています。このイベントは、同社の従業員が乳がん患者に関する理解を深め、病気を克服して職場復帰を目指す同僚を助けるための行動を取ることを目的としています。

世界がん研究基金によると、乳がんは女性のがんで最も多く、全体としてもがん罹患率の第2位です。2018年だけでも診断件数は200万件*1を超えました。ベルギーにおける乳がんの年齢調整罹患数はは女性10万人当たり113.2件と多く、あらゆるがんのうち最大の罹患率です。従業員の8割以上が女性であるUniqueベルギーにとって、乳がんは決して他人事ではありません。

今回ご紹介するアン・アールブレフトは、Uniqueベルギーのゼネラルマネジャーです。同社の「ピンクマンデー」活動をリードするアンは、活動を始めたきっかけを次のように語ります。「4年ほど前、乳がんで闘病中の従業員がいました。私たちは彼女の病後の様子を間近で見て、職場復帰がいかに大変かを認識しました。彼女の存在に後押しされ、私は、Uniqueベルギーとして「ピンクマンデー」の実施を提案しました」。

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「ピンクマンデー」の実施にあたってまずアンが考えたことは、どうすればこの病気に対する認知を高め、理解を深められるかということでした。

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アン・アールブレフト Uniqueベルギー ゼネラルマネジャー

「身体的な回復は職場復帰のため、言うまでもなく重要ですが、一方で、精神面の回復については忘れられがちです。一度職場に復帰すると、時にハードワークも必要で、乳がんのような病気からの回復する従業員にとって厳しい局面もあります。また、キャリアのなかで浮き沈みに直面することもあります。これらの困難に対して精神面でどのように支援できるかを考えることが大切だと思います。」

こうしたメッセージを、趣向を変えながら、一貫して伝えていくのは簡単なことではありませんでしたが、アンは同僚の理解とサポートを得ながら「ピンクマンデー」の取り組みを進めてきました。活動の一部を以下に紹介します。

「ピンクマンデー・ブレックファスト」

Uniqueベルギーのアントワープ本社で開かれた「ピンクマンデー・ブレックファスト」では、従業員に健康的な朝食と、「ピンクマンデー」のパンフレットを配布。従業員はピンクの服を着るか、ピンクリボンのバッジを付けて参加することが推奨され、また、イベントの写真をソーシャルメディアでシェアするよう呼びかけました。#pinkmondayBE のタグ付きで発信された写真はソーシャルメディア上で大きな注目を集めました。

「ピンクリボン・HR会議」

「ピンクリボン・HR会議」では、Uinqueベルギーが医師や政治家をゲストスピーカーとして招き「長期病欠後の職場復帰」についての講演会を主催しました。このイベントの実施は、のちにピンクリボン、ベルギー健康障害保険制度(NIHDI)、Uniqueベルギーの3社で共催される「ピンクマンデー会議」の開催に繋がっています。また、この会議では、人材の専門家、企業内で障がい者への支援を担当するマネジャー、その他人材業界にかかわる人びとに役立つ情報を数多く提供しました。Uniqueベルギーは参加者からも好評だったこの会議に大きな手応えを感じ、2021年の開催に向けて準備を進めています。

「1日1マイル・ウォーク」と「ドロップ・イン・アップル」

「1日1マイル・ウォーク」は、社員たちに1か月の間、毎日1マイル(約1.6キロメートル)歩くことを勧める取り組みです。Uniqueベルギーは、従業員の総歩行距離が311マイル(約500キロメートル)に達するごとにピンクリボン*2に寄付を行いました。おそろいの鮮やかなピンクの靴紐をつけた社員たちは、500社を超えるクライアントを訪問し、この取り組みをアピールしました。また、「ドロップ・イン・アップル」では、社員たちの手作りりんごギフトとピンクマンデーのパンフレットが約800社のクライアントに送付され、ピンクマンデー活動を啓発しました。

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「履歴書プチ改善」

「履歴書プチ改善」活動は、同僚の履歴書に小さな修正や改善を施し、その謝礼としてピンクリボンに1ユーロを寄付してもらう取り組みです。履歴書の改善という人材会社らしい取り組みを通じた寄付活動でした。収益は、ベルギー最大のラジオ放送局主催のチャリティ・メディアイベントに寄付されています。このメディアイベントには多くの注目が集まり、活動に興味をもっていただいた方には、Uniqueベルギーがまとめた乳がんに関するホワイトペーパーを配布し、認知の拡大に努めました。

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挑戦がもたらした変化

Uniqueベルギーでは、乳がんと闘い、それを乗り越えて職場復帰する女性たちを組織一丸となって支援しています。アンは、Uniqueベルギーの取り組みについて以下のように紹介しています。「がんと闘う勇敢な女性たちには、同僚からだけではなく、人事部等の人材領域における専門家からのサポートが必要です。職場復帰には多くの困難が伴いますが、私たちは人事部とも連携し、本人と上司の間の透明でオープンな対話が実施されるようにしていきます。復帰する従業員には、自らのキャリアや所属組織など、自分の希望を、明確に上司に伝えてもらうようにしています。本人の希望や状況に寄り添うことで、一人ひとりに合ったプログラムを作成し、運用しているのです。また、Uniqueベルギーには「Care 4 People」という支援プログラムがあり、24時間365日、全社員が利用できる遠隔の相談窓口を設置し、精神的なサポートを無料で提供しています。こうした多面的な支援を通して、私生活も含めた長期的なキャリアサポートを提供し、本人の職場復帰を支援していくことが重要だと考えています」。

これらの活動がもたらした効果や変化は、決して小さくありません。「従業員やクライアントにおけるこの活動の認知度は確実に高まっていると感じます。社内のサポート体制も強化されています。「ピンクマンデー」は、私たちが人材ビジネスで培ったノウハウも活用しながら進めているので、事業の進化と相乗効果を醸成出来ると考えています。たとえば、多くの従業員がこの活動で得た学びを共有するようになりました。ドミノ効果のように、この学びが会社全体にポジティブに広がっているのです。」アンの情熱が活動に命を吹き込み、大きな変化を生み出しました。

今後の活動

Uniqueベルギーは、今年からクライアントへの働きかけも強化しています。職場復帰した社員がクライアントのもとへ派遣される際に、当該従業員へのサポートをお願いしているのです。こうした取り組みや考え方に賛同するクライアントも出てきていて、自社オフィスの目立つ場所に倫理憲章として掲げる企業もあります。掲げられた憲章は、乳がんと闘う女性やそれを克服した女性たちの勇敢さを支持する連帯の象徴として、クライアント先の社員や関係者など多くの方の目にとまることとなります。自社の社員の理解促進に向けて始めた「ピンクマンデー」ですが、クライアントを通じた社会への拡大の兆しも出てきました。更なる拡大に向けて、Uniqueベルギーでは新しい取り組みの検討が進められています。

Uniqueベルギーを運営するUSG People Belgium外部サイトへについて、詳しくはここからご覧ください。

記事中の画像は2019年10月までに撮影されたものです。

出典:

*1https://www.wcrf.org/dietandcancer/cancer-trends/breast-cancer-statistics外部サイトへ

*2http://www.pinkribbon.com/外部サイトへ

2020年09月01日

※事業内容や所属などは記事発行時のものです。