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スキル、自信、そして共栄できる未来の獲得へ。豪先住民とともに

一人ひとりに最適なトレーニングで、先住民地域の経済的な安定性と自信の向上を

オーストラリアでは、先住民は非先住民に比べ継続的な仕事の確保が困難だと言われています。歴史的に根深いこの壁を取り除くためには、既存の価値観にとらわれない柔軟な思考、情熱、そしてコミットメントが必要であり、それを備えているのがChandler Macleodのチームです。

人材派遣サービスは、人々の人生を豊かにする手助けをする上で、常に大切な役割を担ってきました。とりわけ、経済的、社会的な問題に直面する人々が仕事を得る際の人材派遣サービスの存在は重要です。シンシア・アンドリューズは、Chandler Macleodの雇用公平化チームの一員として、社会から疎外された人々が有意義に働けるための仕組みづくりをしています。

「私は、人材派遣業界で培ったスキルと経験を活かして、ダイバーシティが尊重されるインクルーシブな文化の創造を支援することに情熱を持っています」とシンシア。「Chandler Macleodは、何らかの理由でこれまで仕事に就くのが難しかった人々はもちろんのこと、私たちと協働する企業クライアントにも良い影響を与えられる立場にあります」

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Chandler Macleodが提供するプログラムの参加者

長期的なキャリア形成の基礎を築く

オーストラリア先住民コミュニティにおける失業問題は、歴史的、社会的、文化的な影響を受けるとても複雑なものです。オーストラリア政府の統計*によると、先住民は非先住民に比べて2.7倍も失業のリスクが高いのです。先住民と非先住民の双方の失業率がより高い傾向にある農村部では、この問題はさらに深刻です。

「人々が直面する壁はさまざまです」とシンシアは語ります。「社会的な援助が受けられず若者の失業率が40%を超える可能性がある地方の町では、この問題はより顕著になります。数世代にわたって長期的に失業している世帯もあります。もちろん教育は重要な要素ですが、機会もまた大切です。多くの企業クライアントはいまだに、限られた教育しか受けられなかった人々や限定的な雇用経験しかない人々に就業の機会を提供できないので、悪循環が断ち切れないのです」

この問題に立ち向かうため、Chandler Macleodは企業クライアントと協力してプログラムを策定し、これら諸問題の長期的な解決策を打ち出しました。このプログラムでは、参加者は雇用機会を得るだけでなく、就業前にトレーニングも受けることができます。参加者に紹介される仕事は、地域社会のニーズと、企業クライアントの戦略的目標を同時に満たすもので、たとえば再生可能エネルギー産業、食品産業、製造業、物流サービス(倉庫作業、配送業務)、カスタマーサービスといった業界が該当します。シンシアのチームは企業クライアントと協力して、提供する仕事ごとに独自にプログラムを作成しています。

トレーニングでは安全を第一としながら、各自の自信の醸成、ワークライフバランス、タイムマネジメント、健康の管理など、仕事を始めるにあたって必要な職業的スキルを学びます。研修生の中には、長い間働いていなかった人も含まれるため、フルタイムで仕事をするにあたっては、忍耐力を養うことも非常に重要です。タスクリストの作成、週単位での家計簿管理、託児サービスの手配などは、基礎的な作業ではありますが、忍耐力の醸成に役立ちます。また、後述のソーラーファームの仕事では、陽のもとで長距離を歩くため、体力も必要となります。ソーラーファームで働く予定の研修生は、作業用ブーツを履いて歩くトレーニングも行います。

* オーストラリア政府 内閣府の2016年発行データ

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トレーニングを終えてソーラーファームで働く参加者たち

複雑な課題に向けたインクルーシブなソリューション

この取り組みを通じて驚くべき成果を出したのが、6件のソーラーファームプロジェクトです。ビクトリア州とニューサウスウェールズ州の農村部で、BeON Energy Solutions外部サイトへ(英語ページに遷移します)との協働で実施されました。2018年以降、シンシアと彼女のチームはプロジェクトにおけるダイバーシティ&インクルージョンでの管理担当であり、地域コミュニティから援助を受けられない人々を採用する任務を担っています。2週間から4週間のトレーニングプログラムで、参加者は働くために必要なスキルと自信を手に入れます。ここでの採用基準は、履歴書に書かれた内容ではなく、雇用側の求める主要な行動特性があるかどうかです。たとえば、労働意欲、コミュニケーションスキル、チームワーク、適応能力などです。加えてトレーニングでは、研修生がより快適に過ごせるように、参加者同士の絆を深める場を提供したり、業務開始後も円滑なサポートが行えるよう、関係性の構築も積極的に行います。

「私たちは、社会的弱者の雇用とトレーニングを通じて、地域社会に還元する利益を最大化したいと考えています」と述べるのは、BeON Energy Solutionsの統括部長グレン・トムソン氏です。「そのための最善策の1つは、何らかの理由で雇用の壁に直面している人々にターゲットを絞ること。そして、これこそ本プログラムが行っていることです」

ソーラーファームで働くことは、地域の多くの人々にとって成功へのチャンスであることが実証されています。オフィスではなく屋外で働けること、仕事を通じて技術を身に付けられること、そして、より持続可能な未来に貢献する機会を得られること。「このプログラムによって私は、安定した生活と規則正しい日常を得られただけでなく、これまで決して買えなかった物を買うための貯金ができるようになりました」と、このプログラムを通じてBeON Energy Solutionsのソーラーファームに派遣されたスタッフは言います。

プロジェクトは大成功を収め、従業員の70%を地域社会から雇用するという目標値も上回りました。しかしシンシアにとっての本当の成功は、一人ひとりのストーリーの中にあることがほとんどです。「私がいつも思い出すのは、諸事情により17歳にして働かざるを得なくなったクロエのこと」と彼女は言います。「彼女は現在20歳で、今では私たちと一緒に4番目のプロジェクトに参加し、6人のチームを率いています。彼女の成長は、まさに私たちの目指す未来の象徴なのです」

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Chandler Macleodは女性の就業支援にも力を入れている

もちろん、プログラムへ参加するだけで全てがうまくいくわけではありません。派遣後のケアも、人々が自身と家族双方の経済的安定性を確立するための重要な支援です。こうした包括的な支援こそが継続の鍵であり、スタッフは派遣前から派遣後まで安心してプログラムに参加することができます。

変化する社会のためのソリューションの策定

Chandler Macleodの取り組みは、地域コミュニティ、企業クライアント、そしてChandler Macleodの三方に利益をもたらしました。しかし、チームの仕事はまだ終わっていません。現在の目標は、ビクトリア州とニューサウスウェールズ州から、自社が事業を展開しているすべての州にプログラムを拡大することです。シンシアにとって、このプロジェクトは個人的にも職業人としても大成功でした。「この活動に関われている喜びは、言葉では言い表せません」と彼女は言います。「私は12年間にわたってダイバーシティとインクルージョンに取り組んできましたが、私たちは現在、実に多くの人々を支援し、よりインクルーシブで生産的な社会の実現に貢献できる立場にあります」

この一連の取り組みは、個人の生活や所属するコミュニティをはるかに超えて広がる可能性を持っています。Chandler Macleodでは、先住民の雇用率を全国平均まで引き上げると、オーストラリア経済に1.15%の成長をもたらすと推定しています。これは約240億ドルのGDP増加に相当します。

しかし、経済的価値はほんの一面です。世界の他の地域と同様に、オーストラリアは急速に変化しています。シンシアやChandler Macleodのチームのような情熱的な人々が企業や個人をサポートすることで、「今後5〜10年間、社会的、技術的に多くの変化があると思います」とシンシア。「私たちにとっては、人々と組織に、今後必要な適応能力と自信を育てることを支援することが全てです。大変なことは多いでしょうが、それ以上にたくさんの機会があると思うのです」

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シンシア・アンドリューズ (Cynthia Andrews)

Chandler Macleod雇用公平化統括部長

2014年Chandler Macleodに入社。壁に直面しているすべての人々に有意義で長期にわたって継続可能なキャリアの機会を提供することを目指している

2021年09月17日

※事業内容や所属などは記事発行時のものです。