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一人ひとりの人生に寄り添う リクルートの「保活のミカタ」

日本において、年々激化する保育園入園活動。一般的に「保活問題」と呼ばれ、育児をしながら働くことが当たり前になってきた日本社会における大きな壁の一つとなっています。保育園に入園できるかどうかは、これから育児と仕事の両立が始まる全ての家庭において深刻な問題ですが、特に産育休からの復職という点で、女性のキャリアに大きな影響を及ぼします。

リクルートグループでは、日本国内で働く従業員の保活をサポートすべく、2018年から保活相談専用窓口「保活のミカタ」を設置しました。
そして今、従業員向けの取り組みとして開始した保活のミカタは、社会に向かって大きく羽ばたこうとしています。日本から「保育園に落ちた」と嘆く声を少しでも減らし、全ての育児をしながら働く人を応援したい。リクルートの取り組む保活支援についてご紹介します。

従業員一人ひとりに合わせた「戦略的保活」を提案する保活のミカタ

2008年から仕事と育児の両立支援に取り組むリクルートでは、現在、女性従業員の約5人に1人がワーキングマザーとして働いており、毎年たくさんの女性が産育休を取得しています。その多くが首都圏在住のこともあり、近年の社会的な保活の激化に伴い、育児休職(以下、育休)を取得した女性の3人に1人が「保育園に入園できない」という理由で育休を延長していました。

乳幼児の育児という、ただでさえ目まぐるしい日々に、さらに圧し掛かる保活への不安やストレス。その大きさは想像に難くありません。さらに保育園の入園可否は従業員本人の今後のキャリアや働き方、また復職を待つ職場にも影響を及ぼします。
リクルートでは、事業所内保育園「And's」(アンズ)の設置や外部保育園との企業提携など、保育園に不承諾となってしまった従業員への復職支援を行っています。しかし会社として保育園入園活動そのものを支援する必要があると考え、2018年から保活相談専用窓口「保活のミカタ」を設置しました。

保活のミカタは、自身も保活に苦労し、「保育園への入園事情がキャリアに影響してしまう社会課題を解決したい」という思いを抱いた従業員が中心となって、自らの手で作り上げた社内発の取り組みです。最初にフォーカスしたのは「情報の集約」。保活では、情報収集がとても重要な要素の一つです。特に、認可保育園※1入園のためには、自治体ごとに異なる入園ルールを理解しなければなりません。各自治体が発行する「保育園入園のしおり」を読み込んで、保育園の数、運営の決まり、入園基準となる調整指数※2などを整理し、理解する必要があります。

そこで保活のミカタでは、「乳幼児を抱えたお父さん・お母さんが、自治体ごとの保育園入園ルールを5分で理解できること」を目標に、情報を集約したデータベースを開発することから始めました。実際に、さまざまな自治体の保育園入園のしおりを取り寄せて全て読み込み、情報を整理し、「保活のコツBOOK」と「調整指数計算表」を開発しました。
保活のコツBOOKでは、全国共通の保活の基礎知識だけでなく、自治体ごとに保活戦略を立てるに当たっての着眼点や具体的なアドバイスを掲載。自治体ごとの調整指数を抽出し、自分で計算して比較できる調整指数計算表と組み合わせることで、従業員は自分に合った保活戦略を立てられるようになりました。
さらに、それでも解決できない悩みについては、直接相談できるように相談窓口も開設しました。これまでの保活相談では、「早めに保活した方がいい」「できる限り多くの保育園に申し込んだ方がいい」といった、あいまい、かつ不特定多数に向けたアドバイスしかできませんでしたが、今回データベースに情報を集約したことで提案の質も向上。居住区、勤務地、出産時期や復職希望時期などの状況に合わせた、個別具体的かつ戦略的な保活方法の提案ができるようになりました。

実際に保活のミカタを利用した、リクルートグループで働くAさん。10月に出産予定で、当初は翌年4月の復職を考えていました。しかしAさんの住む地区の認可保育園の申し込みは11月で、出産後すぐに0歳児クラスに申し込まなければ4月の復職には間に合いません。子どもが産まれてすぐ保育園に申し込むことに不安を感じていました。

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「保活のコツBOOK」の表紙

一方でAさんの地区は、例年待機児童が多く発生する、いわゆる保活激戦区。入園受入れ人数という観点でも、何歳児クラスに申し込むかは大きな問題です。復職時期に悩んだAさんは、保活のミカタに相談することを決めました。

保活面談では、具体的にAさんの居住エリアの保育園について、昨年度の受入れ人数やボーダー点数(調整指数の最低合格ライン)などを見ながら、0歳児クラスでの申し込みをした場合と、1歳児クラスでの申し込みをした場合をシミュレーションしました。
その結果、やはり自宅から通える範囲で、かつAさんのライフスタイルや事情に合った保育環境の園に入園するには、0歳児クラスに申し込みをするか、翌年度の途中からリクルート事業所内保育園「And's」に半年間通園し、調整指数で加点をつけてから、翌々年4月に1歳児クラスに申し込みするかの2択しかないことが分かりました。

Aさんは家族と相談し、0歳児クラスでの申し込みを決意。その後、入園が決まり、当初の予定通り翌年4月に復職しました。Aさんは保活のミカタに相談したことについて、「会社という枠を超えて客観的なアドバイスをもらうことができました。保活を軸に、今後どうやって夫婦で働きながら育児をしていきたいかも相談することができ、これまで相談した誰よりも親身になってくれたことに感謝しています」と語りました。

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事業所内保育園「And's」

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首都圏を中心に保活激戦区の情報を収集

ダイバーシティはみんなのもの

Aさんの事例を含めて、保活のミカタでは2018年8月の開始より、性別を問わず150名以上の従業員の相談に対応しました。そして、その多くから喜びの声が届いています。
一人ひとりが自分に合った保活のスタイルを見つけることで、保活の大変さ、苦労を軽減することができる。約2年間の取り組みでその確信を得られたため、2020年度から、「保活のミカタ」の取り組みを「保活総研」へと進化させ、社外にも提供していく予定です。
また、保活のミカタを始めて聞こえてきたのは、たくさんの「激化する保活をどうにかしたい」という声。私たちは今後、この取り組みに共感してくださる企業や自治体を始めとするさまざまな皆さんと手を取り合い、一人ひとりの声を、社会的なイノベーションへとつなげていきたいと考えています。

ダイバーシティはみんなのもの。リクルートグループは、ダイバーシティ&インクルージョンという側面からも、社会の不の解消に挑戦していきます。

※1 認可保育園とは、市区町村単位で運営される、国が定めた設置基準(施設の広さ、保育士等の職員数、給食設備、防災管理、衛生管理等)を全てクリアした保育施設のこと。
※2 調整指数とは、各自治体によって独自に設定されたその世帯の保育の必要性を数値化したもの。点数上位の世帯から優先して認可保育園への入園が決定するため、保活における最重要指標となる。

2020年03月19日

※事業内容や所属などは記事発行時のものです。